相続チェックポイント

1  遺言書があるかどうか確認
被相続人が遺言書を残していた場合は、原則として遺言書に従って遺産分割を行いますが、相続人全員の合意がある場合には、遺言書と異なる遺産分割を行うことも可能です。

●自筆証書遺言

自筆証書遺言が見つかった場合には、家庭裁判所にて検認手続を経る必要があります。検認を受ける前に開封した場合には、5万円以下の過料に処せられるおそれがありますので、開封せずに速やかに家庭裁判所に遺言書検認の申立てをしましょう。 

●公正証書遺言

被相続人が公正証書遺言を作成していたかどうかについては、最寄りの公証役場で検索することができます。公正証書遺言については、検認手続きを経る必要はありません。                                       

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 2 遺留分の請求には期限があります。

遺言により遺産を残されなかった、あるいはわずかしか遺産を残されなかった法定相続人は、遺産を多く受け取る他の相続人に対して遺留分を取り戻すための遺留分減殺請求をすることができます。

たとえば父が死亡し、相続人はAとBの兄弟2人だけの場合に、「すべての財産をAに相続させる」という内容の遺言があったとしても、相続人Bにも、一定額の遺留分を請求できる権利があります。

ただし、遺留分減殺請求は、いつでも行使できるものではなく、相続の開始(=被相続人の死亡)を知った時、贈与のあったことを知った時から1年という期間の制限がありますので、ご注意ください。

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 3 きちんと相続調査を行う必要があります

遺産分割協議を行うに当たって、まず相続人と相続財産を調査して、確定させなければなりません。

相続人に不足があったり、相続財産に重大な不備があったりした場合には、相続人全員の合意のうえ、遺産分割協議をやり直して、再度、遺産分割協議書を作成しなければならなくなる可能性があるからです。
また、被相続人に多額の借金がある場合などには、被相続人の死亡を知ったときから3か月以内であれば、相続放棄を選択することも可能ですので、相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産がないかどうかについてもきちんと調査をしておく必要があります。

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 4 相続財産に不審な点はありませんか?

被相続人が生前に認知症を患っていたり、施設に入院していたりした場合に、相続人の一人が財産を管理しているケースがあります。

他の相続人が被相続人の預貯金を生前に使い込んでいたのではないか疑いをお持ちの場合には、金融機関名・支店名がわかっていれば、弁護士会を通じて、当該金融機関に被相続人が亡くなる前の預貯金の出入金の記録を照会して、調査することが可能です。

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 5 相続税の支払がある場合には、すみやかに遺産分割協議をしましょう。

相続税の支払いをする必要がある方の場合、相続税の支払期限は、相続の開始があったことを知った日(=被相続人の死亡したことを知った日)の翌日から10か月以内です。

遺産分割協議が成立していないケースでは、被相続人(=亡くなった方)の預貯金の払い戻しが事実上できませんので、多額の相続税をご自身で支払わなければならない場合があります。被相続人の死亡後すみやかに相続財産の調査を行い、その後の遺産分割協議をスムーズに進めることができれば、相続財産の中から相続税を支払うことも可能な場合もありますので、相続税の支払いが想定される場合は、お早めに弁護士にご相談ください。

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 6 遺産分割協議書を受け取ったら・・・

被相続人の死亡後、弁護士や司法書士・税理士などから「遺産分割協議書」が送られてきて、署名・捺印を求められることがよくあります。遺産分割協議書とは、遺産分割協議の成立後に相続人全員が押印する書面です。一度署名・押印をしてしまうと、原則的には取り消すことはできませんので、協議書が届いた場合には、まずは内容を冷静に検討し、慌てて押印しないようにご注意ください。

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 7 遺産分割調停の活用

交渉では遺産分割成立の見込みがない場合には調停は有効な手段です。ただし、調停は相手方の住所地の管轄の裁判所に申し立てる必要があるため、交通費などの負担が大きく、なかなか活用できない側面がありました。

しかし、平成25年の法改正により、裁判所によっては電話会議システムを利用して、ご本人が裁判所に出頭することなく、弁護士が電話で調停に参加することにより調停を進めることができるようになりました。これにより、今までは遠方の裁判所のために調停の申立を諦めていたケースでも、調停を申し立てるという選択肢が広がりました。ただし、相続人の数や内容によっては、原則通りご本人が出頭する必要がある場合もあります。

当事務所では、各地の裁判所に弁護士が同行して遺産分割調停をサポートしておりますので、遠方の裁判所の場合でも、まずはご相談ください。

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 8 遺産分割成立後は協議書を作成しましょう

遺産分割協議成立後、協議書を作成せずに長期間放置すると、他の相続人の気が変わった場合や、認知症を発症したり、死亡したりした場合には、既に遺産分割協議が成立したことを証明することが難しくなります。後に思わぬトラブルに発展することもありますので、協議成立後は、すみやかに遺産分割協議書を作成することをお勧めいたします。遺産分割により不動産を取得した場合には、併せて所有権移転登記もされた方が良いでしょう。

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以上が遺産分割を行うにあたって、気を付けるべきチェックポイントです。

ご不明な点がございましたら、弁護士にご相談ください。 

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